「女性ホルモン」という言葉に、なんとなくのイメージを持っていても、実際のところ、自分のホルモンバランスがどうなっているのか、正確に把握している方は少ないかもしれません。「女性ホルモン」は血液検査によって数値として調べることができます
たとえば、生理不順、不妊、更年期障害などの症状で婦人科を受診すると、血液検査を通じてホルモン値を測定することがあります。そこで出てくるのが、AMH、エストラジオール(エストロゲン)、FSH、LH、PRLといった項目です。それぞれに役割があり、私たちの体の状態を映し出す指標となっています。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣にどれくらいの予備の卵子があるかを示すホルモンです。 エストラジオールは、子宮内膜を着床しやすい状態に整えるホルモンで、卵胞が育つにつれて増加します。 FSH(卵胞刺激ホルモン)は、生理の初期に分泌され、卵胞の発育を促します。 LH(黄体化ホルモン)は、排卵直前に急激に分泌され、排卵を引き起こします。 PRL(プロラクチン)は、乳腺に働きかけて乳汁を分泌させるホルモンですが、分泌過多になると排卵が抑制されることもあります。
これらのホルモンには、それぞれ基準値があります。たとえば、エストラジオールは月経周期によって大きく変動し、排卵期には特に高くなりますし、妊娠中にはさらに高い値になります。また、AMHは年齢によって大きく変わります。
FSHやLHは、生理開始3日目に測定することで、卵巣機能の状態を判断することができます。PRLはストレスなどでも変動するため、検査当日のコンディションにも注意が必要です。
では、これらのホルモン値が基準よりも高かったり低かったりする場合、何がわかるのでしょうか。
たとえば、AMHが年齢平均より低いと、卵巣内に残っている卵子の数が少ない可能性があります。FSHやLHの値が高い場合、無排卵や卵巣機能低下、多嚢胞性卵巣などの可能性があるため、不妊との関連が心配になります。
PRLが高いと、排卵を妨げることがあるため、不妊の原因にもなりえます。
・AMHの基準値は年齢によって異なります。
・エストラジオールの基準値
[月経周期]
卵胞期(月経開始から排卵まで)前期 11~82pg(ピコグラム)/ml
卵胞期後期 52~230 pg/ml
排卵期(排卵日) 120~390 pg/ml
黄体期(排卵後から月経まで) 9~230 pg/ml
[妊娠中]
妊娠前期 2,300~7,400 pg/ml
妊娠中期 9,700~18,400 pg/ml
妊娠後期 16,500~32,400 pg/ml
[閉経後]
22 pg/ml以下
・FSHの基準値
正常値:7~8 mlU/ml(検査時期:生理開始3日目)
・LHの基準値
正常値:2~4 mlU/ml(検査時期:生理開始3日目)
・PRLの基準値
正常値:30 ng/ml以下(検査時期:生理開始3日目)
※ホルモン検査の基準値は測定する機器によって異なります
AMHの正常値は年齢により異なります。AMHの値が低い場合は、年齢の平均より体内にある卵子の数が少ない可能性があります。ちなみに、AMHは卵巣の予備の卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣の予備の卵の数を示しますので、卵子の質に対する数値ではありません。
まず生活リズムやストレスが、ホルモン分泌に大きな影響を与えます。ホルモンは、脳と卵巣の繊細なやりとりによってコントロールされているので、ストレスや栄養不足によって指令系統に乱れが生じると、ホルモンバランスが崩れやすくなります。
こうした数値の異常を指摘されたとき、大切なのは、一人で悩まず、婦人科での適切な診断と治療を受けることです。内服薬、ホルモン療法、漢方、生活習慣の見直しなど、原因や症状に応じた対応が可能です。
「女性ホルモンが整っている」と聞くと、難しく聞こえるかもしれませんが、ホルモン値を知ることで、長年の不調の原因がわかることも少なくありません。そして、生理不順やPMS(月経前症候群)、月経痛、更年期の諸症状がやわらぎ、妊娠しやすい体へとつながっていくケースも多くあります。
なお、卵子は加齢とともに減少・劣化していくため、将来妊娠を希望する方には、早めの検討として「卵子凍結」という選択肢もあります。
将来の妊娠に向けて前向きな準備をされている患者さまと向き合うなかで、「知っていれば選べたはずのこと」があると感じています。ホルモン値を知ることは、その第一歩です。気になる症状がある方は、ぜひお早目にご相談ください。「AMH検査」は卵巣年齢のチェックとも言われている検査です。当院では当日最短30分で結果をお知らせします。詳しくはこちら→
日本産科婦人科学会専門医